僕は4月末にある重要な決断をしました。

 

それは、

「R65不動産を辞めるかどうか」

という決断です。
 

もっとちゃんと言うと、

「65歳以上の不動産仲介を辞めるかどうか」

という決断をしました。





その前に、少し背景についてお話しようと思います。
 

 
昨年は、たくさんのメディアに
取り上げて頂いたおかげで、
たくさんの人から
お問い合わせを頂きました。
 
 
入居希望者さんや大家さん、
不動産会社さん、
あと営業の方々、


様々なご連絡を頂きました。


結果、広報費をかけることなく、
案件は来る様になったのですが、
残念ながらマッチングの割合は
あがりませんでした。


それもそのはず、大家さんからのお話以上に
入居者からの「困った」という声が集まったからです。


「精神疾患があるんだけど」
「保証人がいないんだけど」
「身内とケンカして」
など。



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また、元気な方からのお問い合わせも
めちゃめちゃありました。

というより、
むしろ元気できちんとした資産もある、
なんなら仕事もばりばりしている、
そんなかっこいい方からのお問い合わせが多くなりました。


そんな方でも、なかなか物件は見つかりません。


空き家で困っているエリアと、
R65不動産のお客さんの入居希望エリアが
全然違うからです。
 
 
元気なのに見つからない、
元気がないともっと見つからない、
という状況でした。 



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うちに来る方の希望家賃は、
2万円の方もいれば20万円の方も居ます。
 
 
不動産仲介の報酬規定では、
家賃の1ヶ月分を上限となっているため、

例えば1ヶ月40万円の売上を立てる為には、
20万円の家賃の人なら2人、
2万円の家賃の人なら20人
仲介しなければなりません。



でも、
僕らは年齢以上に、
家賃で人を差別したくありませんでしたので、
家賃ではなく仲介数をKPIにしていました。
 
 
当時の平均成約賃料は、現在4.8万円です。


人を雇う為には最低5件、
利益を出す為には8件程の
仲介実績がないと
難しい状況でした。
 
 
しかし、6ヶ月、
人件費以上に売上をたてることは
できませんでした。



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貯蓄を切り崩し進めていたのですが、
もともとそこまで貯蓄があった訳でもなく、


結果的に、預金残高900円になったことがありました。
これは、会社の預金と個人の預金、合わせて900円でした。



預金残高が3桁になると、
コンビニなどではおろせないし、
現金が手元にないから、
クレジットカードで食べれるランチを
めちゃめちゃ探しましたし、
そもそも電車賃のチャージが
できませんでした。
 
 
電車賃が払えないと、
「なんでこの打ち合わせに行かないといけないの」
とか思うこと多々ありました。
「本当にこの打ち合わせ、必要なの?」
って。


あと、家から出られず、打ち合わせに行けず、
シェアメイトからお金を借りたこともありました。


思えば1月から5月まで、
めちゃめちゃストレスがかかったし
気持ちに余裕もありませんでした。


多分、一緒に住んでる住民には
嫌な思いもたくさんさせたと思います。



社員の給与も遂に遅延しました。
最悪です。
生活のため、うちから去った社員も居ました。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。


他の社員からは、
「キャッシュフロー厳しければ、給与待ちます。
 給与を下げても良いです。
 お金が入ってからでもいいです。」
と言われました。

お言葉に甘え、給与を20日待って頂きました。


ある社員は家に帰ってからも、
入居希望者のためにお部屋探しをしていました。


もともと僕は
「社会的な意義のあることをするためには、
 まず社員の労働環境を整えたい」
と言っていたのに、
どんどん労働環境は悪化しました。

完全に悪循環に陥っていました。

とても惨めな気持ちでした。 


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実は、
「高齢者が部屋を借りれない」
ということ自体は、
今に始まったことではなく、

30年程ずーっと言われていることでした。
 
 
「30年も無理だったことだし、
 他の人もやらないし、
 別に僕がこんな惨めな気持ちになってまで、
 やらなくてもいいんじゃないか。」

そんなことを思っていました。


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ありがたいことに心ある大家さんから
物件をたくさんお預かりしていたので、
今すぐ仲介をやめても、
管理料や家賃収入だけ生きていけたのです。


つまるところ、1ヶ月のうち5日ほどの勤務で、
20代の平均年収は越えるだけの収入となっています。



「今すぐ、仲介をしていた社員に、
 ごめんなさい、と辞めてもらい、
 管理専用のアルバイトを雇って、
 セミリタイアして、
 遊んで暮らそう、
 海外旅行一周もいいな。」

そんな想像は、
もう何万回もしました。
 

朝目が覚めた時には、預金残高を思い出し、
夜寝る前には、社員にどう辞めてもらうかを考えました。
 


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「仲介のスタッフにやめてもらい
 R65不動産をやめる」

そんな考えがずーっと頭にあり、




悩んで、悩んで、悩んで、悩んで、
僕は4月末に決めました。



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仲介の社員たちには、
引き続き頑張って給料を払う。

つまり、R65不動産を、
続けることにしたのです。



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この決断をするまで、
僕はたくさんの人に出会い、
僕は多くの本を読みました。


現場の多くは、社員にお任せしていたので、
時間はありました。


とにかく本を読んだし、
起業時代からR65を良く知る、
先輩や友人にもいろいろ
聞いてもらいました。


中には、
「しんどいなら辞めたら良いよ」
という声もありました。


応援のメッセージもたくさん頂いたし、
ただただ黙って聞いてくれる人も居ました。



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いろんな人に悩みをぶちまける中で
「R65不動産を辞めた40年後の自分」
を想像しました。


その時に鮮明に想像したのが、

僕の家族や友人が
「部屋を借りれないんだ、
 山本くん不動産屋だったんでしょ。
 手伝ってくれない?」 
と言っている姿です。



海外でバリバリ働き、老後は日本で過ごしたい、友人。
時代の流れにのれず事業に失敗し家を売却した先輩。
子どもの近くに住みたい、と言ってる家族。
やむなく介護施設で過ごすことを決めた僕。



そんな未来を想像した時に、
「果たして、時間を巻き戻すことができたなら、
 僕はきっとR65不動産を続けているに違いない。」
と思いました。 


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この選択が正しかったのか、正直まだわかりません。

近い将来、やっぱり無理だった、となるかもしれません。

でもね、少し視野を広げてみると、
まだまだできることはたくさんある、
と気づきました。



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例えば、
僕はいっぱいいっぱいになるあまり、
仲介の現場には出ても、
社員に目が向いていませんでした。
 
社員に少し目を向けると、
社員が頑張ってはいても、
とても効率の悪い方法で頑張っていました。
 

最初から
「この人は引っ越さないだろう」
と決めてかかる社員もいました。
 
少し話せば分かったのに、
あまり事務所に寄らず、
社員とのコミュニケーションが
おろそかになっていました。


「分かってくれるだろう」
で片付けていましたが、
完全に空回りしていました。

それから、働いている時間の7割は
社員に使う様にしました。 

以来、すこしずつ業務効率も改善して来ました。


キャッシュフローもだいぶ良くなってきました。



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「不動産会社が分かってくれない」 
と嘆いていましたが、1件1件当たることにしました。

こちらは、効率は悪いのですが、
業務効率を上げる為の必要な無駄だと思っています。



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まだまだできることはある気がします。

心を折れない様に頑張りつつ、
最後に皆さんに少しのお願いです。

※ お金は欲しいですが、
  お金はねだりませんのでご安心ください笑


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お願い①:高齢者に部屋を貸したことのある大家さんインタビュー。

僕は、高齢者に部屋を貸したことのある
大家さんにもっとお会いしたいです。

僕らも、いろいろ知見を貯めてきたのですが、
やっぱり最後のリスクは大家さんに負ってもらう為、
もっとお話を聞いてみたいです。



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お願い②:やっぱり嬉しい物件管理。

R65不動産を支えるのは何と言っても、管理物件。
仲介のお仕事を頂くこともありがたいんですが、
管理物件があると、自分たちのできる幅が広がります。
(こちらは高齢者不可、でも構いません。)

戸建などでも物件活用からご相談に乗れます。
シェアハウスにすることも可能ですし、
商業転用も面白いです。

世田谷線、小田急線、田園都市線などは、
アクセス上ありがたいです。



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お願い③:暮らし系の講演。

先日、建築士さんの集まるシンポジウムにて講演したところ、
・行政の方
・大学の教授
からお話を頂きまして、
別角度からの高齢者の借りづらさ解消の
ヒントが見えてきました。

やはりまちづくりの文脈は切っても切れないようです。

今まで、大家さん向けには
たくさん講演を呼んで頂いており、
大変ありがたいのですが、
まだまだ、一般の方の認知は進んでおりません。

一緒にまちづくりも含め、
暮らし系のシンポジウムや
講演に呼んでほしいです。

( 企業主催のものは、
  講演料等ご相談の上お受けします。)



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今までは借上げてきましたが、
必要とあらば自分で物件を買うことも、
視野に入り始めました。

良いお客さんはたくさんきて、
リスクも小さいのに、物件だけがなく、
大家さんも貸してくれないのであれば
場合によっては、自分たちで買い、
リスクを取るか、
ということを考えています。

40年後、“R65不動産”が冗談みたいだと、
笑い飛ばされる、そんな社会にする為には、
多分、今が大事なのだと、
改めて実感しております。

社員一同頑張ります。