僕は今年で29歳になる。
22歳の時から不動産屋だから、今年で7年目だ。

不動産仲介の仕事を始めたことについては、実は情熱も想いも何もなかった。
たまたま合同説明会で聞いて、会社の内容が面白そうだったので、選考にすすみ、内定をもらった。
それだけだ。
だから多分、不動産仲介って別に興味なかった。

23歳の秋に時に東京に出してもらった。
会社員2年目、ぺーぺーだ。
ありがたいことに先輩の教え方が良くて、運が良くて、たまたま売上が良かった。全社で一番になった。
ただそれだけで出してもらえた。

結果が出て来ると不思議なもので、当初楽しくなかったことも楽しくなって来る。

それが6年続いた。
でも、今年の頭、不動産仲介を辞めた。



僕は不動産仲介の仕事は好きだった。

いろんな人と、話ができるし、部屋を見に行くことも好きだ。
自分自身いろんな暮らしが好きで、その人に合った暮らしを一緒に考えるのが楽しかった。

なのに、だんだん苦しくなっていることに気がついた。



信頼関係を作る為に仕事をしていた

信頼関係あって初めて仕事ができるのに、仕事をつくるために信頼関係を作っている自分がいた。
売る為に信頼関係を作ろうとしていた。 
特に、この傾向は独立してから強くて、自分のお客さんを何としてでも自分のところで契約したい、という欲があった。
実は、この傾向には会社員3年目くらいで気づいていた。

友だちがお客さんになる時、なんというか独特の気まずさがあった。
簡単に言うと、なんだか機械的に仕事してもできた。
「あれ」って感じで終わる。

すごく違和感があったのは、多分2つの要素からで、
・お客さんと関わる時間が短い
・僕じゃなくても誰でもできる
ということだった。

不動産仲介という仕事は好きだけれど、どうしてもお客さんと関わる時間が短い。長くて3週間くらい。
やり取りの時間をトータルで見てだいたい24〜48時間。

信頼を得るのには十分な時間だけれどそれ以上の価値がなかなか出しにくい。
僕の出せる価値って、会社に対してはあっても、お客さんにとってはほとんどない。

ありがたいことに、お客さんを紹介してもらったり、手紙を頂くこともある。
それでも、他の人より少し頑張っただけ。

お客さんが、ポータルサイトで探してきて、わざわざ「この物件が気になるんです」と言ってくださることがある。
わざわざ相談してくれるのも本当に嬉しいんだけれど、「果たしてこれでお金をもらっていいんだろうか」という気持ちが強くなった。

「契約には人が動くから当たり前」と言い聞かせている時期もあったけれど、それでもやっぱりそれは価値ではない、という結論に自分の中であった。



不動産仲介には、価値を出せない

不動産仲介、という仕事が嫌いな訳ではない。むしろ好きだ。
でも僕はこの仕事で、他の人以上に価値を出せない。
僕のできる不動産仲介は、ポータルサイト以上のことはできない。
ただ、他の人より思いやりを持つことを意識したり、早めに仕事を進めることはできる。
それも忙しくない時だけだ。

友だちからの話も、自分で抱えている大家さんの物件以外、仲介するのを辞めた。
ポータルサイトで載ってる情報をもらうことはあっても、こちらで積極的に探すことはほとんどしていない。その場合は、後輩や仕事仲間に頼む。

僕は、不動産仲介は辞めた。


 
辞めてやりたいことがあった。

1つは、借りにくい人が借りやすくする仕組み作りだ。
今までただ仲介するだけだったけれど、それでもその中でも僕が仲介することで借りれた人がいた。
きちんとリスクをコントロールできれば、借りにくい人も借りれるのではないか。
一番借りにくい人はだれだ、高齢者だ。
では、高齢者でも借りやすくなるようにしよう。
それからR65不動産が始まった。


 
賃貸住宅は、ハードにプラスし、ソフトの価値へ
 
1つは、賃貸住宅の、ハードではなくソフトの価値作りだ。
賃貸住宅は、立地・広さ・築年数・家賃で語られるけれど、それを飛び越えた賃貸ってあるんじゃないか、とずっと考えていた。
メゾン一刻みたいな、大家と入居者、入居者と入居者、入居者と地域の人、そんな人間くささのある住まい、もう少し言うと暮らしがあるんじゃないか。
20代のうちに1ヶ月で良いから住んでみたい、そんな賃貸があるんじゃないか。
そんなことを思ってシェアハウスの運営が始まった。

シェアハウスでは毎日いろんなドラマがあって本当に楽しい。
悔しいことも悲しいことも悩みもある。それも全部含めて青春だ。
だから、シェアハウスでできたことを、今度は普通のアパートでやってみたい。
一棟借り上げて、その中をどう使えば面白くなるのか、やってみたい。
シェアする場を既存空間でどう使うことができるか、やってみたい。
これさえできれば地方の空きアパートが一気に楽しくなる。

駐車場経営にも、興味がある。
僕は、シェアハウスの延長で、モバイルハウスを置いてみたけれど結構面白い。
商業でも、住居でも使える。ただの空き地が街の一部となるのだ。

他にもやりたいことがある。
65歳以上の人でも借りれる様になれば、次は精神障害を持っている人や外国の人にもフォーカスをあてたい。
賃貸住宅でもリスクをコントロールできれば普通の暮らしができる。

先ほど、不動産仲介は、ポータルサイト以上のことはできないと言ったけれど、損しない為の正しい不動産知識を持ってもらうことや、その人の暮らしを一緒に妄想することはまだまだできる。
だから、興味あることの1つに、不動産メディアがある。
不動産情報をマガジン化し暮らしを妄想したり、正しい知識のコラムを書く。
情報をきちんと届けたい。
ありがたいことに素敵な大家さんとたくさん繋がれる様になった。 
 

嬉しいことに、僕の仲間内には正しいことが好きな不動産仲間が多い。
だから不動産仲介を僕ができなくても、後輩や仕事仲間に託したり、コンテンツ作りを友人に頼んだりしている。
全てのプロジェクトに関わってはいるけれど、必ずしも僕が中心にいる訳ではない。

友だちと遊ぶ様に、家族と暮らす様に、仕事をしている。
みんなが求めているのは、きっと住居であって住居ではない。
箱が欲しいのではなく、暮らしが欲しいのだ。