こんにちは。ヤマモトです。

僕は本業でR65不動産というサービスをしているのですが、65歳以上の賃貸物件の提供をしています。
で、なんでこんなことをしているか、よく聞かれるのですが、今回は少し長めですが記事にしてみました。

本記事は、不動産会社目線からみた、高齢期の住宅論です。
専門業者さんから見て勉強不足なところもあるかと思います。
加筆・修正などございましたら、お気軽にメッセージくださいませ。
 
R65不動産では「いくつになっても豊かな暮らし」と掲げ、65歳を越えても、賃貸物件を借りれるように整備しています。


現状1.住宅借りにくい高齢者

前提として、いわゆる高齢者は「孤独死が怖いから」という大家さんの具体的な意見と「なんとなく断っといた方が良さそう」という抽象的な意見から賃貸住宅を借りにくいのが、現状です。

どれくらい借りにくいかというと、これくらいです。

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外国人と、同じくらい借りにくいです。
ちなみに、このデータ、何がやばいって国が出しているデータなんですよね。
国が取っているデータ、なのに、4割強も、そもそも不可、と言われ、
民間で取っているデータについては、高齢者を断る大家さんが6~7割を越えます。


現状1-2. 実際の孤独死数

確かに、孤独死はこわいな、というのが本音です。
実際、自然死が起きた後、誰にも発見されず物件の汚損に繋がる、というケースはよく聞きます。
先日聞いたケースだと、発見が死後4年経ったケースもあるそうです。 

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監察医務院のデータだと、孤独死だと見られるものは2733人(2013年)。
データが古いのですがだいたいこれくらいだそうです。

ちなみに23区内の平成24年(2012年)の65歳以上は180万人です。
つまるところ0.00151%の確率で孤独死が起きています。

少ない様に見えるのは、日本では65歳を越えると、病院で看取られる数が上がる為です。
日本では約8割以上の65歳以上の方が病院で最期を迎えられます。
だから、まあ、孤独死ってそんなもんです。



現状1-3.じゃあ孤独死ってどこからが事故物件なの?

ここが一番やばいんですが、事故物件っていろんなところで騒がれるんですが、
実は、事故物件自体に定義がありません


基本的には、入居者が亡くなる場所となった物件を指します。亡くなる原因はさまざまですが、大別すると『殺人』『自殺』『自然死』の3種類です。ただし、この3種類を同等に『事故物件』と扱うべきか否か、基準は極めて曖昧(あいまい)です。例えば、凄惨な殺人事件に巻き込まれて亡くなったとなれば、当面の間は間違いなく事故物件扱いになります。かたや家族で暮らしていて、おばあちゃんが急に具合が悪くなって突然死してしまい、すぐに発見された場合、家族の一員が寿命で亡くなるのは普通のことなので、事故物件と認定しないと思いますSUUMO(https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_room/zikobukken/) 
自然死の場合、不動産会社がどう取り扱うか様々で「亡くなられてすぐ発見」の場合は、事故物件として扱わない場合がほとんどです。

こればかりは定義を外に出している不動産会社は少ないのですが、日本で一番大きい半公的な大家さんであるURでは、
特別募集住宅は、お住まいの方が物件内などで亡くなられた住宅です。
ご入居から1年間または2年間、家賃が半額に割り引かれる住宅があります。(物件により異なります。)
UR都市機構(https://www.ur-net.go.jp/chintai/tokubetsu/)
だいたい事故が起きても2年程の減額です。

そして、孤独死でもっとも多いのは死後3日以内で発見のケースですが、不動産業界で言われている、孤独死で課題になるのは、自然死後平均7日以上発見されなかったケースです。

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(日本少額短期保険協会2016年 http://www.shougakutanki.jp/general/info/2015/news20160310.pdf)

汚損がひどく、次に貸すまでにすごくお金が掛かります。
だから、孤独死する前にきちんと予防、それが大事です



現状2.高齢者で賃貸借りている人ってそんなにたくさんいるの?

ところで、現状高齢者で賃貸住宅を借りている人はどれくらい、いるでしょうか。
国土交通省の一昨年の発表では、65歳以上の約2割が賃貸住宅でお住まい、とのことでした。
現状4人に1人が65歳以上ですから、約600万人です。
比較として23区内の人口が961万人、東京都の人口が1342万人(2016年 住民基本台帳)です。
(賃貸住宅の中には、JKKやURなど半公営住宅が入りますので、一概には言えません)

また国土交通省の調べでは、平成21年から平成25年に賃貸住宅にお引越しした方のうち、約3割は持家からお引越しました。
これは、弊社で高齢者の仲介をしていて感じることですが、
・子どもの近くに住みたい
・家が老朽化しリフォームするお金がない
・相続税が払いきれないから売りたい
・階段の上り下りや庭の手入れが大変
という理由から65歳を超えても引越すケースが増えています。

つまるところ、持家を持っていても引越すケースが増えている、ということです。
また、独身のまま、賃貸住宅に住み続ける、という人が30年前に比べ増加しています。
こちらは単身世帯のデータなど見て頂ければ分かりやすいのですが、おひとり様だから賃貸、という人は多いです。


現状3.減り続ける公営住宅と増え続けるサ高住

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ところで公営住宅は、現状10年間で25,000件減少しました。
結果、公営住宅の入居倍率は22倍となりました。
これは日本全国で、東京都23区に絞れば50〜70倍と言われています。
公営住宅の抽選が年に何度かありますが、だいたい15年〜20年待つ人もいるそうです。
60歳の方が申し込むと入居する頃に80歳になりますね。

また、現在日本ではオリンピックに向け、建て替えラッシュ、
この背景には相続税の関係もあるのですが、もう1つ、築年数の問題です。

現在、日本には600万戸以上のマンションがあり、築30年超の物件は100万戸を超えている。これから5年もすれば、建て替えの問題に直面する物件が激増することは必至だ。
週刊現代(2017年) http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52798 

今、築30年の物件をどんどん建て替えています。
30年前に何があったかというと、空前の不動産バブル、建築ラッシュでバブルがはじける少し前でした。

築30年の物件にはどんな人が住んでいるか、それは当時若者もしくは中年と言われた、30~40歳の人が住んでいます。100万戸を越える物件が築30年以上とのことで、今後オリンピック前後で建て替えが進んでいき、60代や70代の方がどんどん増えています。

だから仕方なく、サービス付高齢者住宅(サ高住)や老人ホームが増えているのですが、
サ高住はかなりの補助金がおりた上で、新築着工しています。
http://www.koreisha.jp/service/


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で、ここで思い出してほしいのが、「空き家問題」
すごい!右肩上がり!
現状、空き家率13.5%!

なのに新規着工数946,306戸
まあ、そりゃそうでしょう、築30年以上の物件が次々建て替えられるので。

ちなみに、サービス付高齢者住宅が増えているのですが、入居率が約6割、と言われています。
新築で入居率6割、なので賃貸経営的に成功とは言えません。

あくまで、うちに来られ賃貸を借りに来られた方の意見のみですが、
サービス付高齢者住宅は、
・家賃が高い→平均10万円くらい(高いところだと15万くらい)
・高齢者ばかりのところに住みたくない
・立地がいまいち

と言われます。

立地がいまいちなのは、建てられた業者さんによって異なりますが、
補助金目当で用地確保にはしった業者さんが多かったため、
「郊外の駅、徒歩25分」
みたいな物件が多いのが現状です。

「自分らしい暮らしを送りたいのに、遠いし、高いし、なんかぶっちゃけ住宅じゃなく施設っぽい」
というのが総括したところでしょうか。

世の中の流れ的には、既存住宅使った方が良い、けれども貸し手の不安が解消されないから、新築するわ、というのが国の方針です。
(今は、良いサービス付高齢者住宅も増えているので、全てがイマイチ、という訳ではないです。
 個人的にはシルバーウッドという会社の銀木犀というサ高住がとても素敵だと思います。)

介護の業界からも見ると、住むところがないため、やむを得なく介護度があがるようにしている、という現状があるとのことでした。
「どういうこと?」と思われるかもしれませんが、介護の点数が無ければ、介護施設には室数と料金の兼ね合いからなかなか入れないのが現状です。

特別養護老人ホームの入居を待つ人が50万人を超える中、より介護が必要な人を優先させるため、入居条件に制限を加えました。
介護が必要な度合いが5段階のうち、2以下の人は原則入居できなくなりました。
クローズアップ現代+ (
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3952/1.html


だから、利用者さんの介護度をあげるよう申告し、施設に入れる様にしているのですが、介護度で出る介護保険はどこから出て来るかと言うと、これは年金から出てきています。
つまるところ税金を入れて、なんとか施設に入れさせる、というところなのですが、これをやったことで、介護施設が足りなくなりました。(実際には介護施設に見合うだけの介護士が不足しています)

これは、言い過ぎかもしれませんが、元気な人が介護施設に入ってしまうと、本当に介護が必要な人が在宅での介護を受け家族の負担を強いられてしまいます。

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ちょっと見えにくいですが、残念ながら有料老人ホームに入っている人のほとんどが、自ら入りたい訳ではありません。有料老人ホームに入りたい人は1割ちょっとになります。

長くなりました。言いたいのは、元気な高齢者に必要なのは箱ではなく既存大家の理解です。

新築するのでなくて良いから、既存の大家さんに理解してもらい、高齢でも賃貸に住める様にすることが空き家問題も、介護施設に入れない問題も、年金が足りない問題も解決する一手だと思うのです。



賃貸住宅で安心して高齢者を入れたい、ということでしたら
R65不動産までお問い合わせ下さい。